令和6年度 上海日本人学校虹橋校学校経営の基本方針
校長 當間 朝成
1.学校教育目標
本校は日本国憲法、教育基本法並びに在外教育施設設立の精神に則り、急速に進展する現代において、グローバルな視野で活躍するために必要な資質・能力を身につけた国際性豊かな日本人の育成を目指す。
本校の建学の精神である校訓の「獨歩博愛」の「獨歩」は「自らを育み、自分らしさを発揮して世の中に役立とうとする精神」であり、「博愛」は「自他を愛し、よりよい世の中を作っていこうとする精神」である。
上海日本人学校での学習と生活を通して、自らを高め、隣人を愛する精神の発揚を図り、中国理解を通して自国日本への認識を一層深め、日本人としての自覚と誇りを涵養し、国際平和に貢献できる人材を育てるべく、上海日本人学校の校訓である「獨歩博愛」の精神を学校教育の根幹に据える。
2.学校経営方針の具現化に向けて
(1)学校経営の重点と具体的な方策
学校教育目標を達成するために、上海の地にある学校としての特性を生かしつつ、物心両面の教育環境を充実・整備し、児童一人一人に寄り添い、夢や希望を語り、その夢や希望の実現に向けて気力みなぎる、気品ある校風の樹立に一層努める。
- 少人数(1学級30人前後)で学級を編制し、一人一人にきめ細やかな指導を行う。
- 授業時数の確保と教育課程の適切な運用に努める。(再登校や編入学児童の学習進度を十分に把握し、学習の遅れ等に対応する教育課程の実施)
- 学習指導要領に基づき、基礎的・基本的学力の確実な定着を図り、学習目標や課題への探究心を養い、意欲的に学習する児童の育成に努める。
- 標準学力検査(NRT)の実施と結果の活用
- 個に応じた指導の工夫・改善、特別支援学級(虹の子)の充実
- 特別支援教育コーディネーターを中心にした校内支援体制の充実
- 各学年副担任による専科の教科指導の充実
- 国際理解・現地理解教育の充実
- 学校行事への取り組みを通した心の教育の充実
- 基本的生活習慣の一層の確立と社会性の育成を図り、心身の健やかな成長と体力の維持・増進に努める児童を育成する。
- 児童一人一人の自己有用感を高め、夢を拓き、その実現を目指す中で、積極的な生徒指導を展開する。
- 児童一人一人の居場所をつくり、互いに尊重し合い、いじめのない学校を目指す。
- 安全管理を徹底し、安全指導を充実させることで、安心安全な環境づくりに努める。
- 感染症に対する対応を的確に実施し、児童の生命・身体の安全を守る。
- 保護者や地域社会、関係機関との連携を促進し、その教育力に依拠した幅広い教育活動の推進に努める。
- 学校運営委員会の「上海日本人学校は一つである」という理念のもと、虹橋校、浦東校、高等部が連携、協力し、上海日本人学校の学校教育を推進する
(2)特色ある教育活動のために
1. 国語教育の充実
・国語は、知的活動の基盤、感性・情緒等の基盤、コミュニケーション能力の基盤である。国語科を中心に、各教科等の特性に応じて、国語能力の向上を図る。
2. 英語学習の充実
・全クラス全ての英語活動、外国語活動、外国語の授業に英語専科とALTを配置し、高度で充実した授業の実現を図る。
・英語活動(小1・小2)、外国語活動(小3・小4)、英語科(小5・小6)のカリキュラムを見直し、系統的な英語力の強化を図る。
3. 中国語の授業の充実
・全学年、週1時間の中国語の時間を設定するとともに、コース分けによる少人数指導を通して、実践的な中国語能力の育成を図る。
・中国の伝統文化に触れる機会、体験の機会を設けるなど、現地理解教育の充実を図る。
4. 情報(ICT)教育の推進
・タブレットを活用した学習活動の充実(各教科等)
・タブレット等での文字入力等の習得、プログラミング的思考の育成
5. 現地校・インター校との交流を通して、多様な人々と連携・協働することができる国際人としての素養の醸成に努める。
6. 修学旅行、宿泊学習、校外学習や外部講師を招聘しての体験など、現地に触れる機会を充実し、自国理解、現地理解を通して、日本人としてのアイデンティティの確立を図る。
7. 運動会や学習発表会など学校行事への取り組みを通して、協働の精神を培い、感動を体験する機会の創造に努めるとともに、5つの心の育成を図り、豊かで潤いのある学校生活の実現を図る。
8. 1年生対象の日本語指導教室と朝読書による日本語力の育成
9. 各学年の実情に応じた教科担任制の導入
10. 阿倍仲麻呂週間の取組
11. 海外子女文芸作品コンクール「地球に学ぶ」への積極的応募
12. フォトブック「たつのこ」の充実
(3)楽しく規律ある学校生活のために
1. 児童理解を基盤とした人間的な温かいふれあいを大切にした学級経営及び生徒指導の充実
2. 全教育活動の道徳教育の補充・深化・統合と道徳の時間の充実
・年間指導計画に基づく特別な教科道徳の時間の確保
・道徳科教科書の活用
・道徳自作教材(第一集)「日中の架け橋となった人々」の活用
3. 虹プロジェクト、なかよし班活動の充実
4. 「虹橋校の5つの約束」(ア あいさつ イ 名札着用 ウ 優しい言葉遣い エ 右側歩行 オ さしすせ掃除)の励行
5. 問題行動やいじめ・不登校の取組の充実
・未然防止,早期発見,早期対応,早期解決,事後の見届け
・生活アンケート、いじめ実態調査の実施と活用
・担任、SC、教育相談担当、特別支援コーディネーターによる組織的な教育相談の充実
6. 人権週間の取組の充実
(4)健康・安全のために
1. 感染症予防の徹底
2. 運動会、水泳学習、なわとび等で体力・気力・健康づくり
3. 新体力テストの実施と結果の活用
4. 校車バスの適正な運用
・バス管理委託会社や通学安全委員会との連携
・「通学のしおり」の活用
5. 危機管理の徹底を図る。
・月1回の安全点検及び遊具施設の定期点検の実施
・危機管理マニュアル早期改定と活用
・防犯意識の高揚と危機対応能力の向上
・火災・地震避難訓練や不審者対応避難訓練の充実
・警備の徹底と公安との連携
6. 大気汚染対策として毎日の空気状況の把握と屋外活動の制限、空気清浄機の活用
7. 「自分の命や安全は自分で守る」という意識の高揚
8. 企業微信を活用した速やかな連絡体制
(5)開かれた学校づくりのために
1. 学校便り・学年便り・学級便り・保健便り等の定期発行と内容の充実
2. 学校ホームページ・学校ブログによる情報発信
3. 「早寝・早起き・朝ごはん」を啓発し,家庭における生活リズムの向上
4. PTAとの連携
・チャレンジタイムで中国文化紹介(カンフー,京劇,雑伎団,影絵等)
・保護者のボランティアによる学校教育活動の推進(図書,卒業アルバム他)
5. 授業参観(教科・語学・専科)の充実
6. 学年・学級懇談会、個人懇談会の充実
7. 幼小中連携の推進(幼小連絡会,就学相談および就学指導の充実)
8. 特別支援学級の編入学・新入学募集及び面談の充実
9. 虹橋校、浦東校、高等部の連携及び三校交流会の充実
10. 学校運営委員会の協議決定事項の周知徹底
(6)職員の指導力・資質の向上のために
1. 教員としての専門性を高め、資質の向上を図る研修・研究の推進
・知識の理解の質を高め、資質能力を育む「主体的・対話的で深い学び」を視点にした授業改善
2. わかりやすく楽しい授業を通して、考える力を身につけさせるための教材研究
3. 創意に満ちた学級・学年経営の推進
・学級経営案や学年経営案のPDCAサイクルによる取組
4. 現地校の教員との交流研修(授業参観と研究協議会)
5. 学校評価や保護者評価(アンケート)の結果を活かした改善の取組
6. 服務規律の厳正確保
7. 法令順守(コンプライアンス)と説明責任(アカウンタビリティ)の徹底